「君に興味がある」と言っただけなのに、なぜ?
かつて部下との距離を縮めようと焦っていた僕は、とんでもない地雷を踏んだことがあります。当時の僕は「部下を知ることはマネージャーの務めだ!」と意気込んでいて、飲み会の席で部下に向かってこう言ったんです。「俺、君のことすごく知りたいんだ。もっと興味があるんだよ」と。……結果?部下は凍りつきました。翌日から、明らかに僕を避けるようになったんです。「監視されているようで気持ち悪い」「何を言われるか怖い」と陰で言われていたことを後で知りました(涙)。良かれと思って伝えた「興味」が、相手にとっては「踏み込まれたくない領域への侵入」として映ってしまったんですね。本当に人間関係って難しいものです。
「興味を持つ」という言葉の裏にある「圧」
なぜ僕の言葉は裏目に出たのでしょうか。それは、僕の言った「興味がある」という言葉に、相手をコントロールしたいという無意識の欲求が透けて見えていたからです。人間は、自分のプライバシーや内面に土足で踏み込まれることを本能的に嫌います。特に「上司」という立場から「興味がある」と言われると、部下は「品定めされている」「評価に繋がる何かを探されている」と身構えてしまうんです。理屈じゃなく、本能的な防衛反応ですね。僕も昔は、上司に対してゴマをするために「御社の事業に興味があります!」なんて熱弁していましたが、それが空回りしていた理由も、今ならよくわかります。関心を示す対象が「相手」ではなく「自分の利益」になっていたからです。
「伝える」のではなく「滲み出る」関心が武器になる
では、どうすれば相手に「この人は自分に関心を持ってくれている」と安心感を与えられるのでしょうか。結論から言うと、「興味がある」と口に出す必要はありません。むしろ、言えば言うほど怪しまれます。本当に相手に関心があるなら、言葉よりも「リアクション」にその気持ちを忍ばせるべきなんです。例えば、部下が話しているときに、どれだけ相手の言葉に耳を傾けられているか。過去の僕のように、「聞き上手ですね」と言われても部下が去った…僕が学んだ『空回りしない』魔法の相槌を読んでいただければわかる通り、テクニックだけで取り繕っても心は伝わりません。大事なのは、相手がポロリとこぼした小さな言葉を拾い上げることです。
信頼を深める「魔法の問いかけ」の技術
もし相手に関心を示したいなら、「興味がある」という言葉を捨てる代わりに、相手の「好き」や「こだわり」に小さなスポットライトを当てるような問いかけをしてみましょう。僕が過去に部下を追い詰めていたとき、よくやっていたのが「質問攻め」で部下を追い詰めていた僕が、一言変えるだけで信頼を取り戻した魔法の質問力でお伝えしたような、尋問に近い質問でした。「なんでそうなの?」「どうしてそうしたの?」という「なぜ(Why)」の追求ではなく、「どんなところが好きなの?(What/How)」という「相手のポジティブな感情」に焦点を当てた質問に変えるだけで、相手の反応は180度変わります。
具体的にどうすればいい?
例えば、部下が趣味の話をした時、「へえ、そうなんだ」で終わらせず、こう返してみてください。「その趣味の、どういうところが一番面白いと感じるの?」これだけで、「この人は自分の価値観に関心を持ってくれている」と相手は受け取ってくれます。ポイントは、「あなたの評価」ではなく「あなたの感じ方」に興味がありますよ、というスタンスを示すことです。これこそが、相手の心を無理なく開くための最短ルートなんです。
「興味」という名のスパイスを使いこなす
不器用な僕でも、この「相手の感情にスポットライトを当てる」という方法に変えてから、部下との距離感は劇的に改善しました。上司に気に入られようと必死だった頃の僕には、この「自然な関心」が欠けていたんですよね。結局、人は自分を理解してくれる人にしか心を開きません。その第一歩は、相手の言葉を否定せず、ただ「あなたがどう感じたかを知りたい」という好奇心を、控えめに、でも確実に伝えることです。毎日少しずつ、この「小さな興味」を積み重ねていくこと。そうすれば、いつの間にか「この人には安心して話せる」という信頼関係が築けているはずです。人間関係という難問に悩むあなたも、今日から「興味がある」と言う代わりに、「どんなところが好きなの?」と一言添えてみてください。それだけで、景色が変わりますよ。
